「礼なんていいから、早くお茶会に急ぎニャア。帽子屋が首を長くして待ってるぜ」
「そうだそうだ、お茶会!忘れる所だった!急がねば!」
“お茶会”という言葉を聞いたとたん、私の腕から三月ウサギが飛び降りた。
そのまま帽子屋の元へと繋がる扉を開けて、ピョンピョンとスキップをしながら去っていく姿を見送る。
「アリスも、もう行きニャア」
三月ウサギの去った方向を指差してネコさんが言った。
「あなたはお茶会に行かないの?」
「言っただろ?吾輩は煙たいのが苦手だニャア」
「そんなに煙たい場所には思えないけれど…」
「アレに慣れちまったら、そうだろうニャア」
キョトンとする私に、ネコさんは手を振った。
「ほら、吾輩の事はいいから戻りなアリス。それじゃあニャア」
ニヤニヤと笑みを浮かべたその姿が消えていく。
「ええ、ありがとうネコさん」
私は最後にもう一度だけお礼を言って、その場を後にする。
来た道を戻り、再び帽子屋の待つお茶会の部屋の扉を開けると…賑やかな声が聞こえた。



