囚われアリスは館の中


目の前で、それが弾かれる。


「えっ…?」


驚いて足を止める私の目の前に現れたのは…紫色をした尻尾だった。


「ま~た面倒事に巻きこまれてるニャア、アリス」


「ネコさん…」


ふわりと宙に浮いたまま、長く尖った爪で槍を受け止めたネコさんがそこにいた。

スペードのトランプ兵長が後ろに飛びのいてネコさんを睨みつけた。


「チェシャ猫…お前、女王様に刃向かう気?」


生憎(あいにく)、どっちの味方でもないニャア」


「僕の邪魔するなら、敵って事にするけど」


クルクルと器用に長い槍を振り回すスペードのトランプ兵長。

ネコさんはニヤニヤと笑いながら空中であぐらをかいて座る。


「いいのかい?お前さんにノラネコと遊ぶ暇なんてニャイと思うけど」


「…それ、どういう意味?」


「お前の大好きな“女王様”が、お前の事を呼んでたぜ?今すぐ行かなくていいのかニャア?」


ネコさんの言葉を聞いて、スペードのトランプ兵長が構えを解いた。

さっきまでピリピリとした殺気を放っていたのに、それもすっかり消えている。


「…そう、なら今回は見逃してあげる」


それだけ呟いて、彼は部屋の奥にある扉から出て行ってしまった。

終わりはあっさりとしていたけど、ネコさんがいなかったら今頃…。


「ありがとう、ネコさん。おかげで助かったわ」


私がお礼を言うとネコさんはゴロゴロとノドをならした。