「はぁ…死ぬかと思った…だけど感謝するよ、おかげでお茶会に行ける」
「そもそもあなた、何でオリの中に入っていたの?」
私が問いかけると、三月ウサギは怒った様子で床を強く踏みつけた。
「スペードのトランプ兵長のせいさ!美味しそうなニンジンを少し味見させてもらっただけなのに、こんな所に幽閉するなんて酷いだろう!」
「スペードの…トランプ兵…?その人に味見の許可はもらったの?」
「いいや?テーブルに置いてあったのだから、誰の物でもないだろう?」
それは三月ウサギが悪いんじゃ__。
そう言おうとした時、幼い声が部屋に響いた。
「そういうの、泥棒っていうんだよ」
「ひぃっ!!」
声を聞くなり飛び上がる三月ウサギ。
私の後ろに隠れて震える彼を庇いながら、声がした方へランプを投げる。
ぼんやりとした明かりが照らしたのは私より一回りは小さい、華奢な体をした男の子だった。
青いスペード柄の差し色が入った、騎士のような服。
長い黒髪は後ろで一本に結ばれていて、瞳孔の開いた青い瞳が私を見つめている。
その手には、大きくて長い槍。
もしかして…。
この子が三月ウサギを閉じ込めたっていうスペードのトランプ兵長…?



