「おお、お前さんはアリスか!?早くここから出してくれ!こんな所にずっといたら気が狂ってしまう!」
「ちょっと待って、あなたも私の名前を知っているの?あなたは誰?」
「ワタシを忘れたのかい?三月ウサギだよ!早く早く出しておくれ、お茶会に遅れてしまう!」
オリの柵を握ってじだんだを踏む三月ウサギ。
そのたびにオリは揺れて、その影を左右に動かした。
私は背伸びをして手を伸ばすけど、三月ウサギにはあと少し届かない。
何か踏み台になる物は…。
辺りを見渡すと、分厚い本をいくつか見つけた。
これを重ねて踏めば、届くかも知れない。
私はランプをずらして本を置き、その上に立った。
オリに手が届く。
でも、どうやって下ろせばいいのか分からなかった。
「助けてくれぇ、早くここから出しておくれぇ」
「待って、すぐに助けてあげるから…」
三月ウサギに急かされながら、私は足元のランプを手に取る。
それを上に掲げると、オリと天井を繋げるS字のフックが見えた。
引っかかっているだけなら…。
私は下から上へ、オリを激しく揺らす。
「うわっ!いきなり何をするんだ!?」
「我慢して柵に捕まってて!」
何度かオリを揺らすうちに、フックから外れたオリが下に落下して大きな音を立てる。
その衝撃で壊れたのか、それとも最初から開いていたのか…オリの扉が開いた。
「手荒な事をしてごめんなさい、大丈夫?」
起き上がらない三月ウサギへ手を伸ばす。
オリの中、三月ウサギが私の手を掴んでヨロヨロと立ち上がった。



