囚われアリスは館の中


重たいまぶたを開くと、予想通りの人影が相変わらず宙に浮かんでいる。


「ネコさん…何でここに?」


目を擦りながら寝ていた体を起こす。

ネコさんはゴロゴロとノドを鳴らしながらニヤニヤと笑った。


「さあ?ボクはどこにでもいるし、どこにもいないからニャア」


「“ボク”…?ネコさん、あなた…さっき会った時は自分の事“オレ”って言ってなかった?」


「そんな細かい事は気にするニャア、アリス」


そう言ってネコさんは宙にぷかぷか浮いたまま、器用に一回転して見せた。

話せば話すほど不思議な人。

いきなり消えたと思ったら、いきなり現れる。

足音は…浮いているから分からなくて当然だけど、近づいてくる気配すら感じなかった。

彼は私を見つめて首を傾げる。


「それで、アリスはこんなとこで何してるニャア?」


その言葉に、私は目的を思い出して立ち上がった。


「私、アリスを探しているの。ネコさんは見なかった?」


「アリスなら今、目の前でボクと話してるニャア」


「私じゃなくて、黒い影みたいな真っ黒なアリスを探しているの」


私はネコさんに事情を説明した。

__お茶会に飾るお花を見つけたからついてきて。

そう言われて追いかけたけど、見失った事。

眠くなってここで休んでいた事。

そしたらネコさんが声をかけてくれた事。

話を聞き終えた彼は、ネコ耳ピコピコと動かしながら視線を上に逸らし「う~ん」と首をひねった。