「実はね、すごく言いにくいんだけど…。」
私の隣に腰をかけながら、田口くんがつぶやく。
「え?なになに?」
「若菜が今朝から風邪ひいたらしくて…今日来られないらしいんだ。」
田口くんがそう言った瞬間、私の携帯が鳴った。
若菜からのメール着信だ。
TO:加奈
本当にごめん!今日は風邪で行けなくなっちゃった…。
私が誘ったのにごめんね。
若菜ったら、風邪だから仕方ないよ。
そんなに謝らなくていいのに…。
平気だよ、若菜お大事に!と返信を打つ。
「若菜からメール?」
「うん、ごめんねだって。」
「本当、なにやってんだかなぁ。若菜。」
田口くんが笑う。
若菜を思って、笑っている。
やっぱりまだ、切ないなぁ。
ふっきるつもりだったけど、まだ無理みたい。
私、今でも…
今でも田口くんのことが…。
その時、今度は田口くんの携帯が鳴った。
着信音に、びくっとする私。
ていうか私、今…何考えてた?

