そんなある日。

思いもよらないことが起きた。


「ねぇ、加奈。隣のクラスの那智くんってわかる?那智くんが、加奈と遊びたいんだって…。」

「え??」


隣のクラスの那智くんは知っている。

細身で背が高くて、綺麗な顔の男の子だ。

帰り道が同じ方向なので、何回かしゃべったことがある。

それに、田口くんと仲がいいらしく、よく一緒にいるのを見かける。

その那智くんが、なんで私と?



「なんかさぁ、那智くんずっと加奈のこと気になってたんだって。」


「そうなんだ…そんなに仲良くないんだけどな。」


「そんでね、田口くんが一緒に遊びたいって頼まれたらしいの。だから、加奈さえ良ければWデートしない?」


残酷だよ。

若菜は私の気持ちを知らないから仕方ないんだけど。

だけど、田口くんと若菜が仲良くデートしているところ。

近くで見ているなんてあまりにも残酷。


「えー?那智くんと無理やりくっつけようとしたりしない?」


「しないしない!絶対しないよ!てか私はただ単純に、加奈と遊びたいしね。」