あたし恋をしてるかも【恋愛短編集】



「わわっ!泣くなよ!もう笑わないから!」


むかつく!

むかつく!

修に馬鹿にされるのが、一番むかつく!


ぼろぼろと零れる涙は、全然止まらない。


「だーかーら!泣くなっつの!なぁ、首んとこ見てみ?」


そう言われて視線を首元へ移す。

涙でにじんだ目には、可愛いピンクゴールドのネックレスが見えた。


「ハッピーバースデー!杏!」


修が私の涙をぬぐいながら、にこりと笑いかける。


そっか。

そういえば今日は、私の誕生日だった。


もしかして、さっきのはネックレスをつけるために?


私に目を閉じさせて、シャツのボタンを外して、バランス崩して押し倒して…。


ネックレスひとつつけるのに、もたつきすぎだよ。


「修のバカッ…!!」


「おい、何でそうなるんだよ!」


「うるさいバカ!でも…ありがとう。」


修を思い切り罵倒した私だけど、しっかりと顔は笑っていた。


不器用な修の、不器用な誕生日プレゼント。

こんなの、嬉しすぎるってば。