「悪ぃ、杏。バランス崩した……」
「だめだめだめー!!修、落ち着いて!修は男の子だし、気持ちもちゃんとわかるし!私だってしたいけど…!でもまだ早いよ!私たちにはまだ早いから…!!」
閉じていた目を開けて、私は一気に喋りだした。
乗っかった修の体を押しやり、必死に言い聞かせる。
修が落ち着くように。
修が我に返るように。
「もうっ!いきなりなんて…修のばか!」
思いを全て吐き出した私は、酸素が足りなくなって息が上がった。
顔を真っ赤にして、はぁはぁと息を吐く。
「お前、何を言ってんの?」
そう言った修は、やけにあっさりとしていた。
何で?
さっきまで私のこと、押し倒してたくせに。
もう冷静になっている。
「へ…?修?」
「バカ、もしかしてお前!俺に襲われるとか思ったのか!?」
修がケタケタと笑いだす。
え?やだ。
ち、違うの?
恥ずかしさやら悔しさやらが、一気に込み上げてきた。
自分の勘違いに、涙が出る。

