あたし恋をしてるかも【恋愛短編集】



目を閉じて、何も見えなくなる。

それによって、他の感覚が研ぎ澄まされる。


普段は気にしていない、修の吐息。

つばを飲み込む音。

ときどき私に触れる、修の手の冷たさ。


そのひとつひとつに、私は緊張した。


「くそっ、シャツが邪魔だな。」


修のつぶやきが聞こえた。

そして、シャツの首元が引っ張られた。


プチ…

制服のシャツの、第一ボタンが外れる音。



へ?

ちょっと、待って。

修、もしかして、私の服を脱がしてる?



プチ…

第二ボタンが外れる。


そして、シャツのえりを、ぐいっと開けられる感触。

スースーと、首が涼しい。

また、冷たい修の手が、首に触れる。


やだ、修。

ドキドキするよ。

修のくせに。アホのくせに。


私に何しようとしてんのよ。



私の胸の鼓動は、あり得ないくらいに早くなっていた。