「杏、今日帰ったらお前の部屋行っていいか?」
「またゲームやりに来るんでしょ?ま、いいけど。」
デートをするのも、もっぱらお互いの家が多い。
近いし、気をつかわなくて済むし。
ただちょっと、マンネリしすぎな気もするけれど…。
私が帰宅すると、その5分後には修がやってきた。
私のお母さんとしゃべりながら、私の部屋に入ってくる。
「でねーおばさん、東京駅あたりって答えたら先生に叱られてさぁ…。」
「あはは、やだわ修くん!じゃぁ、ゆっくりしてってね。」
お母さんが部屋のドアを閉める。
と、同時に修が私のベッドにどかっと座る。
「修、お母さんとなんの話してたの?」
「ん、ああ。今日授業中に涙腺はどこにあるかわかりますかって先生に言われてよ。」
涙腺。
涙の出てくる、目のあそこね。

