あたし恋をしてるかも【恋愛短編集】



上段の本をとるための脚立をのぼる。

少し古いその脚立は、ぐらぐらと揺れて頼りなかった。


「太陽〜!ちょっと押さえててくれない?」


脚立を支えてもらうため、本に熱中している太陽を呼び付ける。


「うん、いいよ。綾さん気を付けて。」


少しも文句を言うことなく、太陽は私の足元を支えた。



心理学の本は思っていたよりも高いところにあり、あと一歩のところで手が届かない。


「だめだ。太陽、ちょっと変わってくんな…」


足元にいる太陽を見ると、私を見つめていたその瞳と、一瞬だけ目が合った。


そして、恥ずかしそうに顔をそむける太陽。



「え…?」


太陽の目線の先は、明らかに私のスカートの中だった。