だけど私は度肝を抜かれることとなる。
それは新入生歓迎ライブでの、赤星先輩のバンドを見た時。
「こんにちはー!モダンジャズバンドです!聞いてください!」
そい言って始まったのは、とてつもなくファンキーな、赤星先輩のオリジナル曲だった。
なにがモダンジャズだよ!ど、大笑いをするオーディエンス。
しかし私は笑うのも忘れて、ステージから響く音に飲み込まれてしまった。
心臓に直にくる、ベースの重い音。
体が自然と揺れる、ノリのいいリズム。
赤星先輩はあの無邪気な笑顔で、楽しそうに演奏している。
ベースのネックをぐっと上げる度に飛び散る汗。
前髪の隙間から、たまにのぞく透き通った瞳。
いくつもの照明に照らされたその瞳は、まるでミラーボールのように光り輝いていた。
さっきまで笑っていたオーディエンスも、いつの間にか静かに息を飲んで見守る。
私はこの瞬間、恋に落ちてしまった。