色褪せて、着色して。Ⅷ~スノードロップ編~

「太陽様。イチゴ様は罪を償っている最中とおっしゃいましたよね? そのような方が海外に逃亡して、無傷でいられるのでしょうか? わたくしたちの国では更に罪が重くなりますわ。下手をすれば死罪です」
 え、死罪?
 それはないんじゃ…という思いを乗せて。
 バニラを見るが、
 バニラは睨みつけるように太陽様を見ている。
 太陽様は「うっ」と声を漏らして、呆然自失状態になった。
「しかも、太陽様は国家騎士です。イチゴ様を見つける…すなわちご自身が実の妹様を捕らえるという意味になりますが…。ご自身で、妹様を捕らえ、牢屋に送るということでよろしいでしょうか?」
「そんな…そんな意味で俺・・・」
 おかしい。
 バニラが、まるで太陽様に意地悪しているようにしか見えない。

 とはいえ、バニラが言っていることに嘘はない。
 ただ、妹を守りたいという太陽様は。
 バニラの言うことを1mmも考えていなかったのだろう。
「既に、他の騎士の方たちがイチゴ様を捜索なさっているのでしょう? ならば、どうして太陽様が探す必要があるのです? 太陽様が動くということは、太陽様自身も苦しみ、相手のイチゴ様さえも苦しむということなのですよ」
「バニラ…そこまで言わなくても」
「俺は、俺はただ…イチゴが心配なだけで。俺は…、俺が動いたら、イチゴは苦しむんでしょうか?」
 太陽様は両手で顔を覆った。
 今にも泣き出しそうだ。
 こんな重たい空気の中、私は一言も発する勇気は出ない。
「太陽様。太陽様はイチゴ様を信じて待ってあげるのが一番ですわ。無事に海外で暮らすことが出来れば、きっと向こうから連絡が来るはずですから。それまで苦しいでしょうが、待つしかないのです」
「待つ・・・?」
「もう一つ大事なことがありますわ。太陽様が動けば、お兄様はどうなるのです? お兄様は太陽様にイチゴ様を探せと行ったのでしょうか?」
「……」
 太陽様は、立ち上がった。
 そして、力なく座り込んだ。
「現状でも、ナイト様は処罰されるのではないですか?」
「あに…兄は、あ・・・」
 太陽様は黙った。
 バニラは、ここでようやく目を反らした。
「太陽様。感情で動いてはいけません。苦しいでしょうが、イチゴ様を信じて。お待ちください」
「…そうっすよね。俺、浅はかでした」
 ようやく、太陽様はぼーとした状態から表情が戻る。
 ここで、話は一旦終わりだろうと、ふうとため息をついたが。
 また、バニラが口を開いた。