色褪せて、着色して。Ⅷ~スノードロップ編~

「色が見えない? 幼いから?」
 意外な一言に驚く。
「ええ、幼いというせいもありますわ。幼い人間は色が変化しやすいものですから。ですが、二度目に城でお見かけした際のイチゴ様は・・・」
 と言ってバニラは口を閉じた。
 たいてい、言葉を濁すときは恐ろしいことしか待っていないのだ。
 ごくごくとホットミルクを飲み終える。

「えーと。つまり、イチゴは?」
「見えない人間は、とにかく危険ということです」
 きっぱりとバニラが言い切った。
「…そっか」
 はぁ…と思わずため息が出てしまった。
 お行儀が悪いけど、足をぴーんと真っ直ぐ伸ばす。
「イチゴがこれ以上、太陽様の足を引っ張らなきゃいいんだけど」
「それに関しては大丈夫ですわ」
 また、きっぱりとバニラが言い切った。
「お得意の妖精の勘ってやつ?」
 思わず笑ってしまったが。
 バニラは下を向いた。
「だって、イチゴ様はもう・・・」
 テーブルに置いてあった蝋燭の火が一瞬消えた。
 かと思ったら、また火がついた。
 オカルト的な展開に、ぞくっと背筋が凍った。

 妖精の勘だったら、笑って済んだ話だけど。
 バニラの話す様子じゃ、決定しているということだ。
 知りたいけど、絶対に知ったら後悔するパターンな気がする。
「うふふ。好奇心旺盛なマヒル様のために一つ情報を提供しましょう」
「…バニラって人の心読めるよね?」