財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

「関わるな。」

私は思わず足を止めた。

優斗にしては珍しく強い口調だった。

「え?」

「黒龍には近付くな。」

声が低い。

真剣だった。

私は驚いてしまう。

「どうして?」

「不良だからだ。」

優斗は短く答えた。

「でも、あったこともない人たちを決めつけるのは良くないわ。」

「それでもだ。」

優斗は珍しく譲らない。

「六花。」

「はい。」

「絶対に関わるな。」

その目には本気の警戒心が宿っていて、私は思わず頷いてしまった。

「わ、分かったわ。」

すると優斗は少しだけ安心したように息を吐いた。

しかし、六花は知らない。

優斗が警戒している理由が単なる暴走族だからではないことを。

そして、優斗も知らない。

その黒龍の総長と副総長と特攻隊長が、今まさに六花の結婚相手候補になっていることを。