結局。
一番無難そうなパスタにした。
これなら失敗しないだろう。
俺はラーメン。
翼はとんかつ定食。
碧は天津飯。
それぞれ料理を受け取り、
トレーを持って席へ戻る。
遠くから六花の姿が見えた。
執事とボディーガードに囲まれている。
その光景だけ見ると、どこかの国のお姫様みたいだった。
いや、実際かなり近いのかもしれない。
しかし、六花はそんな周囲のことなど気にせず、相変わらずフードコートを見回していた。
子供みたいに。
好奇心丸出しで。
なんというか。
危機感がない。
俺たちが席へ近付く。
「買ってきたぞ」
六花の顔がぱっと明るくなった。
「ありがとうございます!」
その笑顔に少しだけ驚く。
こんなことでここまで喜ぶのか……。
俺は六花の前へパスタを置く。
「どうぞ」
「わぁ……」
六花は目を輝かせていた。
高級レストランへ連れて行ったわけでもない。
数百円のパスタだ。
それなのに、本当に嬉しそうだった。
その反応を見て、なぜか少しだけ得した気分になる。
だって、俺が選んだ料理だから。
翼がとんかつ定食を、碧が天津飯を置いて、ようやく全員の料理が揃った。
ところが、誰も食べ始めない。
理由は簡単だった。
六花が動かないからだ。
俺は首を傾げる。
「どうした?」
六花は返事をしない。
代わりに。
じーっと。
俺のラーメンを見つめていた。
本当にじーっと。
凝視している。
「……何?」
思わず聞く。
六花は我に返ったように瞬きをした。
「いえ」
そして少し恥ずかしそうに言う。
「本物を初めて見ました」
沈黙。
翼が箸を落とした。
碧が俺も固まった。
3つ子だけあってこう言う時の連携はバッチリ。
「ラーメンを?」
「はい」
「テレビとかでは?」
「あります」
「食ったことは?」
「ありません」
「一回も?」
「一回も」
六花は平然と答える。
俺たちは顔を見合わせた。
そして同時に思う。
このお嬢様、想像していたよりずっと重症かもしれない。
【side 蓮 fin】
一番無難そうなパスタにした。
これなら失敗しないだろう。
俺はラーメン。
翼はとんかつ定食。
碧は天津飯。
それぞれ料理を受け取り、
トレーを持って席へ戻る。
遠くから六花の姿が見えた。
執事とボディーガードに囲まれている。
その光景だけ見ると、どこかの国のお姫様みたいだった。
いや、実際かなり近いのかもしれない。
しかし、六花はそんな周囲のことなど気にせず、相変わらずフードコートを見回していた。
子供みたいに。
好奇心丸出しで。
なんというか。
危機感がない。
俺たちが席へ近付く。
「買ってきたぞ」
六花の顔がぱっと明るくなった。
「ありがとうございます!」
その笑顔に少しだけ驚く。
こんなことでここまで喜ぶのか……。
俺は六花の前へパスタを置く。
「どうぞ」
「わぁ……」
六花は目を輝かせていた。
高級レストランへ連れて行ったわけでもない。
数百円のパスタだ。
それなのに、本当に嬉しそうだった。
その反応を見て、なぜか少しだけ得した気分になる。
だって、俺が選んだ料理だから。
翼がとんかつ定食を、碧が天津飯を置いて、ようやく全員の料理が揃った。
ところが、誰も食べ始めない。
理由は簡単だった。
六花が動かないからだ。
俺は首を傾げる。
「どうした?」
六花は返事をしない。
代わりに。
じーっと。
俺のラーメンを見つめていた。
本当にじーっと。
凝視している。
「……何?」
思わず聞く。
六花は我に返ったように瞬きをした。
「いえ」
そして少し恥ずかしそうに言う。
「本物を初めて見ました」
沈黙。
翼が箸を落とした。
碧が俺も固まった。
3つ子だけあってこう言う時の連携はバッチリ。
「ラーメンを?」
「はい」
「テレビとかでは?」
「あります」
「食ったことは?」
「ありません」
「一回も?」
「一回も」
六花は平然と答える。
俺たちは顔を見合わせた。
そして同時に思う。
このお嬢様、想像していたよりずっと重症かもしれない。
【side 蓮 fin】

