財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

そしてリビングへ足を踏み入れた。

広いリビングの中央。

六花はソファの近くに立って、ぼんやりとバイオリンを弾いていた。

視線はどこか遠くを見ている。

楽譜を見ているわけでもない。

窓の外を見ているわけでもない。

ただ放心したように弾いている。

間違いなく今日、何かあったのだろう。

俺は六花に歩み寄る。

「六花」

その表情を見た瞬間、確信した。

拗ねている。

かなり拗ねている。

「何かあったのか?」

できるだけ優しく聞く。

久しぶりに見た拗ねている六花も可愛いすぎるなぁなんて思いながら。

六花は数秒黙っていた。

そして次の瞬間。

「もう玲央兄様ほんとに酷い!」

盛大に爆発した。

俺は思わず苦笑する。

なるほど。

原因は玲央か。

珍しく分かりやすい。

六花はバイオリンを置くと、今日の出来事を一気に話し始めた。

要するに学校帰りに平民の学友とファミレスに行こうとして佐々木に止められ、玲央に援助を求めたのにも関わらず、却下されたらしい。

途中からほとんど愚痴になっていたが、俺は最後まで黙って聞いた。