財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

屋敷に戻った後は8時までフランス語と英語、バイオリンのレッスンをちゃんと受けて、終わったあとは夕食を食べ、お風呂に入ってから陽菜に借りた本をリビングで読み始めた。

いつもこの時間はバイオリンの練習をしているのだけれど。

今、お父様はロサンゼルス、玲央兄様はドラマの撮影で京都、珍しく紫苑兄様は帰りが遅くなるらしいから、今日だけはいいかなって。


モテ•テクよりも、人生初の恋愛小説の方に興味が湧いてしまって、巻末の小話から読んでみた。

『甘い口先』っていうタイトルで、資産家の一人娘のお嬢様が、幼い頃から一緒に育った同い年のイケメン執事に恋をして。

でも、父に政略結婚するように言われて一度は諦めて、けれど10年以上も育んできた恋を本当に諦められるわけはなくて、高校卒業と同時に2人で駆け落ちするっていうストーリーだった。

そのお嬢様は、翼くんと目が合った時の私みたいに、執事と接近するたびに心臓がバクバクしていた。

鼻血は出していなかったけれど……。

やっぱり私も恋してるのかなぁなんて、最終ページの2人のキスシーンの挿絵を赤面しながら見ていた。