財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

「駄目だ。」

「なんで。」

「空気が悪い。」

「意味が分からん。」

本当に意味が分からなかったらしい。

俺はため息を吐いた。

「お前ら六花見たことあるだろ。」

「ある。ってか、お前がことあるごとに写真見せて来るから見たことないメンバーなんていねぇだろ。」

「めっちゃ可愛い。」

「人形みたい。」

「天使だった。」

他のメンバーも頷く。

当然だ。

国宝級イケメンの俺の妹なんだから。

「だろ?」

俺は腕を組む。

「そんなやつがフードコートなんか行ったら周りがジロジロ見るだろ。」

「まあ見るかも。」

「だから駄目なんだよ。」

「そこなの?」

涼介がツッコむ。

そこだろ。

他にも平民がいっぱいいるからとかいろいろ理由はあるけど。

「この前なんか兄貴から連絡来てさ。」

「うん。」

「六花がショッピングモール行ったって聞いた。」

「うん。」

「でも俺その日ライブだったから何もできなかったんだ。」

「へぇ。」

「今思い出しても腹立つ。」

「なんで?」

「変な男に話しかけられてたらどうすんだよ。」

楽屋に沈黙が落ちた。

涼介が隣のメンバーを見る。

隣のメンバーがさらに別のメンバーを見る。

全員同じことを考えていた。

――お前が一番面倒な男だろ。

しかし誰も言わない。

命が惜しいからだ。