財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

【side 玲央】


大阪公演初日。

京セラドームの楽屋はライブ直前特有の慌ただしさに包まれていた。スタッフやマネージャーが忙しなく出入りする中、俺はドレッサーに座ったままヘアメイク担当に髪をセットしてもらっていた。

鏡の中にはいつもの俺が映っている。

完璧な髪型。

完璧な衣装。

我ながらよく整った顔。

国宝級イケメンに選ばれるだけあると思う。

「玲央くーん、前髪ちょっと触るねー。」

「ん。」

適当に返事をする。

すると、ふと思い出した。

「そういや。」

俺は鏡越しにメンバー達を見る。

「今頃あのブス何してんだろ。」

楽屋にいた全員が一瞬だけ固まった。

また始まった。

そんな空気が流れる。

涼介なんて既に諦めた顔をしていた。

「六花ちゃんのこと?」

「他に誰がいんだよ。」

俺は鼻で笑う。

「この前電話したらファミレスだのフードコートだの言ってやがったし。」

「普通じゃん。」

「普通じゃねぇ。俺ならもっと良い店連れてってやるのに。」

涼介は遠い目をした。

「いや別にフードコートくらい……。」