財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

すると。

コンコン。

ノックの音が響いた。

営業本部長が入ってくる。

「社長、午後のパーティーの件ですが――」

社長は真面目な表情になる。

切り替えが異常に早いんや。

さすが社長。

「資料を。」

「こちらです。」

営業本部長が資料を差し出す。

社長は数秒で目を通す。

「問題ない。」

即断。

有能である。

本当に有能である。

だが、次の瞬間。

「そういえば。」

営業本部長が嫌な予感しかしない切り出し方をした。

「お嬢様は夏休みで道明寺家でしたよね。」

やめろ。

それ以上話題を広げるな。

僕の願いは届かなかった。

社長の目が輝いた。

「そうなんだ。」

営業本部長、やらかした。

「もう二週間近く会えていない。」

あかん。

「最近は電話だけなんだ。」

ほんまにあかん。

「それに昨日は電話をかけたのに出なかったんだ。やっぱり人間は直接合わないとダメだよなぁ。あー、早く六花に会いたい。」

駄目なんは別の部分だと思うんは僕だけやろか。

営業本部長は固まっていた。

僕も固まっていた。

秘書室の女性社員も固まっていた。

すると、社長は窓の外を見ながら呟く。