財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

「今日は男三人連れて来てる。」

今度は会場中が爆発した。

俺たちは同時に顔を引きつらせた。

「何言ってんだあの人。」

翼が呟く。

「やばいって。」

蓮も額を押さえる。

俺も同意だった。

しかし、玲央さんは止まらない。

「俺の妹はずっと俺たちのライブに来たいって言ってたんだ」

否、真っ赤な嘘である。六花は半ば強引にチケットを握らされ、せっかくなら行ってきなさいと僕の父さんに背中を押されてやって来ただけだ。

ステージから指差してくる。

「どう?俺かっこ良いでしょ?」

六花。

「~~~~っ!!」

完全に沈没。

顔を両手で覆っている。

会場では。

『妹いるの!?』

『しかも関係者席!?』

『男三人って誰!?』

『修羅場!?』

などと大騒ぎになっていた。

そして、俺たちは思った。

この人、やっぱり王子様じゃない。

ただの重症シスコンのドS兄貴だ。

それだけは間違いなかった。

だが、そんな大騒ぎの中。

俺はちらりと六花を見る。

恥ずかしそうにしている。

困っている。

でも、どこか嬉しそうでもあった。

その横顔を見て。

俺は改めて思う。

やっぱり、六花は可愛い。

そして。

翼も。

蓮も。

同じ顔をしていた。

その瞬間。

俺は悟った。

もう遅い。

三人とも。

完全に六花へ落ちている。

この夏、きっと誰も引き返せない。

【side 碧 fin】