財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

そして。

ついに。

私は人生初のファミレスへ到着した。

店内へ入った瞬間。

私は感動していた。

本当に。

感動していた。

「人がたくさん……」

「昼時だからな」

「ドリンクバーがあります!」

「あるね。」

「デザートもたくさんあります!」

「あるね。」

蓮様が笑いを堪えている。

碧様も肩を震わせていた。

そんな時だった。

「えっ!?」

聞き覚えのある声。

振り向く。

そこにはお店の制服姿の陽菜が立っていた。

数秒。

陽菜は固まる。

そして。

私を見る。

次に。

翼様を見る。

蓮様を見る。

碧様を見る。

また私を見る。

「六花。」

「はい。」

「何その状況。」

「え?」

「なんでイケメン三人連れてるの?」

私は首を傾げた。

「道明寺様たちです。」

「だからどうして!」

陽菜は頭を抱えた。

「何これ!?」

「何がですか?」

「少女漫画!?」

店内の女子高生たちもちらちらこちらを見ている。

それもそのはずだった。

翼様も蓮様も碧様も目立つ。

とても目立つ。

「陽菜!」

私は思わず駆け寄った。

「約束守れたよ!」

「うん、それはいいんだけどさ!」

陽菜は私の肩を掴む。

「どうしてそんなイケメン軍団引き連れてるの!?」

「イケメン軍団……?花嫁修行なの。」

「意味が分からない。」

私は思わず笑った。

「ふふっ。」

「笑い事じゃないって!」

「陽菜面白いわ。」

「六花!」

「ごめんなさい。」

その瞬間だった。

後ろで。

三つ子が同時に固まっていた。

翼。

(六花ってタメ口使えたのか。)

蓮。

(普通に友達と喋れるじゃん。)

碧。

(敬語しか話せない平安貴族の生き残りかと思ってた。)

三人とも同じようなことを考えていた。

なぜなら。

今までの六花は、

「翼様」

「蓮様」

「碧様」

と、いつも丁寧な敬語だったからだ。

ところが。

陽菜と話している六花はまるで別人だった。

年相応の女子高生。

楽しそうに笑い。

冗談を言い。

友達と騒いでいる。

そんな自然な姿を。

三人は初めて見たのだった。