財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

確かに、六花は重度の世間知らずだ。

悪い意味じゃなく。

純粋すぎる。

だから特攻服姿の俺たちを見ても。

『何かの怖い人たち』

くらいにしか思わないかもしれない。

だがその直後、翼がふと本から視線を外して呟いた。

「でもさ。」

「ん?」

「もしバレたら。」

「……。」

「六花、泣くかな。」

その言葉に俺と碧は少しだけ考え込んだ。

六花は暴走族という存在をよく知らないはず。

だからこそ自分たちが黒龍の幹部だと知った時。

どんな顔をするのだろう。

軽蔑するのか。

怖がるのか。

それとも―――。

「……分かんねぇな。」

俺は正直にそう答えた。

けれど一つだけ確かなことがある。

明日。

六花がまた道明寺家へ来る。

そのことを思い出しただけで。

なぜか少しだけ胸が高鳴っている自分がいた。