ミチヲは、いつも教室の隅で笑ってた。
アタシは、だるい授業を聴き流しながら、斜め前のミチヲをみてた。
補講が終わったら、外はもう真っ暗だった。
息が白くなった。


暗い道を歩いていたら、声をかけられた。
ミチヲだった。

顔が赤くなるのが自分でもわかる。
すっごくはずかしい。
何を話しても、つまっちゃう。
だけど、すっごくうれしかった。

今まで部活だったりでわかんなかったけど、ミチヲとアタシって家の方角一緒だったんだ。

家にあんまり帰りたくない。
だけど、ミチヲと歩けるから、その瞬間だけがいい。

補講がずっと続いて、ミチヲとアタシは、よく一緒に帰るようになった。

ミチヲは、いろんなことを知ってる。
タメなのに。


ずっといいことなかったけど、ミチヲと一緒の時間を過ごせる。


その日も、いつもの帰り道だった。

昔の防空壕のあるあたり。
ちっちゃい頃、中に入ろうとして、へんなジジイに怒られたとこだった。


街灯も途切れて、暗くなる。
ミチヲが初めて手を握ってきた。
ミチヲも震えてた。
アタシも……。


もうめっちゃくちゃはずかしいから、うつ向いてた。
そしたら、すごく大きな声がした。

前に、2メートルくらいの男が立ってた。
ソイツがへんな声を上げて、向かってきた。

ミチヲは、すぐにアタシの前に立って守ってくれた。

だけど、ものすごい勢いで向かってきて、ミチヲは、押し倒された。
アタシも弾き飛ばされた。

ミチヲは、持ってたバッグで男を叩いてるけど、男に全然効かない。
アタシは、へたりこんで全然動けなかった。
怖くて怖くて声も出せなかった…。

ミチヲは、服を脱がされてた。
そして……。

ミチヲの叫び声がした。

ミチヲが泣いてる。
アタシも泣けてきた。
男は、激しくミチヲを責めてた。
どれくらいの時間かわかんないけど、ミチヲはもうぐったりしてるのに、男はずっと激しく動いてた。

気がついたら、男はいなくなってた。
ミチヲは、服を着るとトボトボと歩いていった。

アタシは、どうしたらいいかわかんなくて。
ただミチヲの後ろ姿をみてた。