私はもう諦めた。
グラスを手に取り、リキュールのボトルを棚から下ろす。
リキュールを注いだところで、バンの手が横からすっ飛んできた。
──ガシャンッ!!
払い落とされたグラスが、床で砕け散った。
「なに……するの」
「ピンクのカクテルでカンパリ入れるか?普通。カンパリだったら俺だって覚えてんだよ!」
「そもそもバンくんのせいじゃん」
「キッモ。てめぇの低能棚に上げて逆ギレしてくんな」
「……もういい」
そう吐き捨てたところで。
「うん、ホント。もういいわよ」
いつの間にか、バーカウンターの前に立っていたリンコ。
カウンターに両ひじをつき、冷ややかな目で私たちを見ていた。
「ヒドい店。ユキちゃんにとって特別なお店だって聞いてたから期待してたのに。従業員の質がサイアク」
私は慌てて頭を下げ、何度も謝った。
横から慌てて入ってきたサンコンも、隣で一緒になって深く頭を下げた。


