余所者-よそもの-【 2 】



「………」

よし。

やっぱり話題を変えよう。

住んでる場所でも、趣味でもなんでもいい。


けれど、開いた口から言葉を発するよりも早く、リンコが次の質問を放り込んできた。


「カナコはユキちゃんとチューした?」

「い……いえ。そんなこと、するわけないです」


「ええ?なんで?アタシ妬かないわよ。言ってよ」

「本当です」


「うっそ。あの男のことだもん、絶対してる。ユキちゃん、チュー上手よね?」

「あの」


「もちろん、本番もとっても上手」

「リンコさん、もう……」


もう、やめてほしい。

けれどリンコは止まってくれない。


「でも、ユキちゃんってちょっと変態よね?」

「………」


「これはさすがにアタシしか知らないと思うんだけど。ユキちゃんって────……」


そう言って、耳打ちされた、具体的な情事。


「──……っ!?」

私はとうとう耐えきれず、跳ねるようにリンコから後ずさった。


その拍子に膝がローテーブルにぶつかった。

ガタッと揺れたテーブルの上で、私のシャンパングラスが倒れてしまった。


「……すみません!すぐに拭きます!」

リンコの洋服を汚さないで済んだのが不幸中の幸い。


「大丈夫よ。気にしないで」

ダスターを取り、テーブルと床に零れたシャンパンを拭く。


床に四つん這いになりながら、ふと顔をあげれば、

「………」

リンコはそんな私を、ニコニコと眺めていた。