「………」
よし。
やっぱり話題を変えよう。
住んでる場所でも、趣味でもなんでもいい。
けれど、開いた口から言葉を発するよりも早く、リンコが次の質問を放り込んできた。
「カナコはユキちゃんとチューした?」
「い……いえ。そんなこと、するわけないです」
「ええ?なんで?アタシ妬かないわよ。言ってよ」
「本当です」
「うっそ。あの男のことだもん、絶対してる。ユキちゃん、チュー上手よね?」
「あの」
「もちろん、本番もとっても上手」
「リンコさん、もう……」
もう、やめてほしい。
けれどリンコは止まってくれない。
「でも、ユキちゃんってちょっと変態よね?」
「………」
「これはさすがにアタシしか知らないと思うんだけど。ユキちゃんって────……」
そう言って、耳打ちされた、具体的な情事。
「──……っ!?」
私はとうとう耐えきれず、跳ねるようにリンコから後ずさった。
その拍子に膝がローテーブルにぶつかった。
ガタッと揺れたテーブルの上で、私のシャンパングラスが倒れてしまった。
「……すみません!すぐに拭きます!」
リンコの洋服を汚さないで済んだのが不幸中の幸い。
「大丈夫よ。気にしないで」
ダスターを取り、テーブルと床に零れたシャンパンを拭く。
床に四つん這いになりながら、ふと顔をあげれば、
「………」
リンコはそんな私を、ニコニコと眺めていた。


