余所者-よそもの-【 2 】



どれだけ祈っても、願っても。
時間がとまることなく、週末は訪れる。

バンに罵倒を浴びせられながら、機械的に開店準備をこなした。

一人きりの買い出しが、仕事中の唯一の息抜き。

いつもより少しだけ、店に戻るのが遅くなった。


……あれ。
AnBarの軒先に、誰かが立っている。


「あら!カナコ」


そう艶やかに微笑んだのは、今日もジュエリーのようなリップを輝かせるリンコだった。


「ちょうどよかった。お店、入れてくれない?」


「少しお待ちいただけますか?まだ開店時間じゃなくて」

今はまだオープン前。
看板も出していないし、中の準備だってきっとまだ終わっていない。


「そんなのいいわよ」


え、何が?


リンコはカツ、カツ、とヒールを鳴らし、AnBarのドアを押し開いた。

入口に置かれたドアマットや電飾看板を器用にかわし、奥へと進んでいく。


「リンコさん?ちょっとっ、ちょっと待ってください!」

リンコは止まらない。


後を追ってフロアに入ると、そこは案の定、開店準備の真っ最中。

明るい黄色の照明の下、テーブルに灰皿を並べていたバンと、掃除機をかけていたサンコンが、揃って目を丸くした。