そうして、この日はこれ以上何も話さず、シドは私を帰した。
……AnBarへと。
店についた頃には、すっかり営業は始まっていた。
ユキはもう仕事へと出て行ってしまっていた。
サンコンは何事もなかったかのように、いつも通り私に接した。
バンは──……。
ひたすらに私を憎いものか、汚いものを見るような目で睨み続けた。
営業が終わり、二階の自室へと帰れば。
──私のベッドの上には、ゴミが散乱していた。
レモンやライムの搾りかす。
チーズの包み紙。
営業中に出たベタベタとした汁の滴る生ごみたち。
それから。
ユキが今日食べるはずだった炒飯も、きっと手つかずのままベッドの上で、冷えて固まっていた。
この日からだった。
繋ぎ止めたい私の大切な居場所が、まるで針のむしろに変わったのは。


