「昔、俺への報復に利用された。身も心も全部壊されちまった」
「………」
「だから……どうしても、駄目だ」
「なにが……」
「お前が、俺のせいで誰かに傷つけられることが」
『耐えられない』、そう言葉が続いた気がした。
今、話しているのは、シド自身の中にある罪の意識。
シドも、怖かったのかもしれない。
衝動的になって私を傷つけたのも。
今、こうして謝るのも。
全部、カエデという彼女に対する後悔からくるもの。
きっと、自分に向けられたものじゃない。
そう考えれば、すっと胸が軽くなった。
不思議と、そこに虚しさや悲しさはない。
ただ、ずっと抱えていた疑問が解けていく感覚だけがたしかにある。
「シドも……私と一緒だったんだね」
シドが私を慰めたのは、私の気持ちがわかるから。
消えない罪悪感が、苦しくて苦しくてたまらなくて、だから放っておけなかった。
醜い、醜いと思っていた自分の存在が。
もしかしたら。
少しでも、シドの何かを癒していたのかもしれない。
そう思えば、やっと。
真っ直ぐに、シドの瞳を見つめることができた。


