シドはチェアに深く座り直し、ガシガシと頭を掻いた。
そのまま片手で頭を抱え込む。
その横顔には、動揺が滲んでいる。
私はチェアに座り直し、目の前の水を一口飲んだ。
「カエデは……女」
「シドの彼女?」
「病気だ」
「……病気?」
「心の病気。ここ2年は施設に入ってる」
私は「そう」とだけ返した。
この話をどう受け止めればいいのか、わからなかった。
だから、どう言葉をかければいいかも、わからない。
私はシドにとって、会って肌を重ねるだけの存在。
シドに彼女がいること自体、意外でも驚きでもなかった。
ただ、カエデについて話すシドの横顔がとても辛そうで。
だったらこれ以上、聞く必要もない。
「もういいよ」
そう言うと、カウンターの上に置いていた私の手を、シドがぎゅっと握った。


