呆気にとられていると、シドは片腕で私を抱き寄せた。
噛み痕の残る首筋に顔を埋めて、ゆっくりとした一呼吸を耳元で聞かせる。
「たまに、ありえねぇくらい頭に血が上るときがある」
「………」
「俺がお前に、何をしたかはわかってる」
「………」
「だから……悪かった」
らしくない、ぶっきらぼうな謝罪。
「………」
沈黙を重ねるたび、強まっていく腕の力。
私を包むこの腕に、どう答えればいいかもわからず。
苦しさから逃げるように、口を開いた。
「こわ……かった」
そう漏らせば、もう片腕が私の背中に回った。
強く腰を引き寄せられ、お尻がチェアからずり落ちる。
シドの膝が椅子代わりになって、私の身体を下から支えた。
「嫌……だった」
不安定な姿勢。
咄嗟にテーブルに突いた手を、シドが掴んだ。
そのまま、自分の背中へと導いていく。
「ああ。全部、俺が悪い」
シドはそう言って、私の後頭部に大きな手を回す。
よしよしと、何度も髪を撫でていく。


