「………」
シドの顔は見れない。
正面で飲み物を入れる手元を見つめて、カラン、カラン、とグラスに氷が落ちる音を聞いていた。
やがて、シドは私の隣に静かに座った。
カウンターには二つのグラス。
私の前に、透明のお水が置かれた。
「………」
「………」
シドはなかなか話そうとしない。
膝の上に手を乗せじっとする私の横で、ただ静かに煙草を吸っている。
隣から吐き出される紫煙が、酒瓶の棚の手前で広がり、溶けるように消えていく。
私はその紫煙をぼうっと眺めながら、どうしてシドが今日この時間、私を呼んだのかを考えていた。
いつもは、会えばすぐに抱き合った。
こんな風にカウンターに並んで座るのは、初めてのこと。
ここで話をしようとしていることはわかる。
何を話すんだろう。
何を、言われるんだろう。
シドはきっと、私が連絡を無視し続けたことに腹を立てているだろうから。
怒鳴られて、なじられて、脅されて。
それから。
乱暴にあの部屋に放り込まれて、夜まで帰れないのかもしれない。


