野間に連れられるまま、Re:bidoの扉の前に立った。
ドアにかかるプラスチックプレートは”OPEN”を示している。
私のすぐ後ろで控える野間。
私自らの手で、扉を開くのを黙って待っている。
私は野間を軽く睨みつけてから、一度だけ深く息を吐き、ドアを押し開いた。
背後で、野間が踵を返す気配がした。
──リン……。
頭上で控え目に鳴った鈴の音。
前に進むのを、躊躇った。
「………」
「入れよ」
いつもは奥の部屋にいるシドが、カウンターの内側に立っていた。
私はドアの取っ手をぎゅっと握りしめたまま、おずおずとRe:bidoに足を踏み入れる。
手汗に滑らせるように、取っ手から指を離した。
「………」
以前、悲惨なまでに荒らされたRe:bido。
その影は、どこにも残っていなかった。
木製の床には傷跡ひとつなく。
カウンターチェアも新調され、鏡のように照明を映すテーブルだって真新しい。
カウンター背面の酒瓶を飾る棚こそ、少し空いてはいるものの。
まだ新しそうな酒瓶が、綺麗に並べ直されている。
「何か飲むか?」
首を小さく横に振ってから、チェアに浅く腰掛けた。


