余所者-よそもの-【 2 】



「だったら、誰がその居場所をカナコさんに与えたのか。一度よく考えてください」


目を見開き、しゃがみ込む野間を見下ろした。


膝に肘をついた野間の右腕に、とぐろを巻く黒い龍の刺青。

蛇を丸のみにする龍が、私を睨みつけている気がした。


「……AnBarに、何かする気?」


手にじっとりと湧いた嫌な汗を拭うように、服の袖を握りしめた。

野間は静かに立ち上がる。


「脅したいわけじゃない。恩だってあるでしょって話だ」

「………」


「今日はただ、紫藤さんに謝る機会をあげてほしい」

「………」


「僕は強引が嫌いだ。カナコさんの足で、カナコさんの意志で、着いてきてください」


脅しじゃない?
強引が嫌い?

おかしなことを平気で言う。


野間は、私の逃げ道を淡々と塞ぐ。


この人だって、多夜と大差ない。

……何を考えているか、わかったもんじゃない。