余所者-よそもの-【 2 】



「もう……仕方がなかったんすよ」


ぽつりと嘆かれた声。

野間は細い目をさらに細くして、困ったように眉を寄せていた。

視線はどこか遠くを見つめている。


「紫藤さんも多夜さんも、好き勝手やってくれて。こっからどう取り戻すんですか?」

「何の話?」


「カナコさんの今の居場所をサゲでもしないと、カナコさんはもう僕らのところに来てくれないでしょ」


「行きたくない」


Re:bidoに、行きたくない。


簡単に私の居場所を奪う、野間が嫌だ。

何を考えているかわからない、多夜が嫌だ。

……シドが、嫌だ。


誰も、私のことなんて見てない。

Re:bidoが、もう……嫌だ。


「あのAnBarとかいう場所は、そんなにもカナコさんにとって大切ですか?」


大切……。

考えるより先に浮かんだのは、なんてことのない日々。


カウンターでお酒を作るサンコンの穏やかな横顔。
お酒を片手にする、潤の豪快な笑い声。
軽口を叩く、バンのいたずらな顔。

私のことを『かぁこ』と呼びつける、つまらなそうなユキの顔。

失くしたくない。
失くすのが……怖い。


私の、ささやかな日常。