余所者-よそもの-【 2 】



「……ア……」

バンが、あんぐりと口を開けたまま、気を失っている。


バンを殴ったのは、サンコン。

床からはじけ飛ぶようにして、その場に立ち上がった。


野間に対峙するその顔。

見開いた目に、とてつもない怒りが見える。


「……ふん」

野間は怪物のようなサンコンを前に、鼻を鳴らした。

そして私の手を引き、庇うように背中に隠す。


「やっぱこうなっちゃうか……」

野間がわずかに腰を落とし、構えた瞬間──……



「──……サンッコォォォン……!!」



空気そのものを切り裂くような、ユキの怒号。
その声がフロアに反響している間に。

ユキは瞬く間に二人の間へ割って入り、サンコンの首筋へ肘を叩き込んだ。


「……グァ……ッ!」


電撃を食らったように、その場に崩れ落ちる巨体。

ユキは易々と上から押さえつけた。


フウ、フウ、と全身ポンプのように粗い呼吸を繰り返すサンコン。


「落ち着け」

ユキはその平坦な声で、息を整えさせた。


「………」

私はその光景を。
色のない映画のスクリーンを見ている感覚で、呆然と見つめていた。


一度、二度。
ゆっくりと瞬きをした。

目を開いても、景色が変わることはない。


誰とも目が合わないまま。

野間に手を引かれ、AnBarを後にした。