余所者-よそもの-【 2 】



「………」

野間はだらりと垂れた私の手首を掴み、グイと引いた。


「では、お邪魔しました」

踵を返し、歩きだそうとしたとき。


「一つ、聞いていいか?」


背後から、ユキの声がした。

背筋を、冷たい水がつーっと伝っていく。


「なんすか?」

野間が足を止め、ゆっくりと振り返る。


「シトウの紫藤は、女一人の面倒も見れないほど、甲斐性がないのか?」


「うーん。まぁ、言いたいことはわかるっすよ。僕も、カナコさんはシトウに置いた方がいいと思ってるんです」

「………」


「でもね、物事には順序ってモンがありますから。外野がとやかく言うのは野暮ってモンですし、それに──」


野間の口元から、ふっと笑みが剥がれ落ちた。

声が、低く歪む。



「……シトウにも入れねぇド底辺野郎が。生意気言ってんじゃねぇぞ」



──バキッ!!

骨の砕けるような音が、店内に響いた。