余所者-よそもの-【 2 】



「………」

サンコンは、ジロリと野間を睨み上げたまま。

漬物石みたいになって、バンを押さえ続けた。


「ああ、よかった。ここの用心棒さんっすね。噂は聞いてますよ、いろいろと」

「………」


「押さえてくれてよかった。じゃないと、うっかり手を出してしまうところでした」

「……御託は控えていただけますか」


「そっすね、そっすね!僕は僕の目的を果たすことにします」


張り詰めた空気の中。

狐の面を被ったような薄気味悪い笑顔を浮かべた野間が、カウンター前に立ち尽くす私にじわじわと、だけど一直線に近づいてくる。


一歩。
また一歩と、その距離が縮まるたびに、逃げ場がひとつずつ塗りつぶされていく感覚がした。


「行きましょうか。カナコさん」


「なん、で……?」

なんで、野間くん。
どうして、ここに来たの。


「なんで?言っていいんですか?」


……え?

「違っ……やめ────」



「紫藤さんが待ってるっすよ、あの夜からずっと。あなたに会いたいと言って聞かないんです」



頭の中が、真っ白になった。

どこを見たらいいのかわからなくなって、ただ、野間の口元の一点を凝視した。


みんなが、私をどんな目で見ているのか。

少し、想像しただけで、今すぐにここから消えてしまいたくなった。


バレた。
バレた。

みんなにバレた。

知られた。
知られて、しまった。