「……帰れ」
「すません、すません。大した用事じゃねぇんで」
「ここに、入るな……」
「まぁまぁ、そう言わず」
「これ以上、こっちに来るなッ!!!」
「僕の目的なんてすぐですから。……ちょっと、大人しくしといてもらえません?」
野間の細い目が、刃物のように鋭く光った気がした。
低く唸り続けるバンは、拳を構えた。
「これ以上、寄るなっつってんだろうが……ッ!!!」
「あー……おけっす。前にあんだけボコられて、まだ懲りてねぇんすね」
呆れたような声。
野間は、ゆっくりと肩を回した。
その右腕に昇る龍の刺青は、今にも暴れ出そうと躍動しているように見える。
交戦の、寸前。
バンの踵が床からわずかに浮き上がったのと、同時。
ドォンッ!と、サンコンが土足でカウンターに飛び乗った。
その縁を蹴り、バンの背後へ一直線に跳ぶ。
「──……やめましょう」
ドサリ、と床に倒れたバンの小さな背中に、サンコンの巨大な膝が重くのしかかった。
「ハ……ナァ……セェェェ……!」
バンはサンコンの下でジタバタと暴れている。


