余所者-よそもの-【 2 】



「やべやべやべッ!遅刻するぅぅぅ」


開店前のAnBar。

髪に寝ぐせをつけたバンは、大慌てでフロアに駆け込んできた。


サンコンは冷ややかな目を向ける。

「あと一分ですよ」

「だから急いでるんだろ!」


バンは更衣室へと飛び込んだ。


今日は週末。
バンとシフトが被っている日。

私とサンコンはすっかり身支度を終えて、なんなら働きだしているというのに。

遅刻常習犯のバンは、今日もギリギリ間に合うか間に合わないかといった瀬戸際。

「………」
「………」


なのに不思議だ。

更衣室に消えたバンは、一向にフロアに出てこない。


私は一度サンコンと目を合わせてから、更衣室へ向かった。

コンコン、と軽くノックしてから、扉を開ける。


するとそこには、おかしな光景が広がっていた。


「……何、してるの。バンくん」

「おう!お前やっぱ気ぃ利くよな!今日発売のジャンプ、もう買ってくれてたのか!」


週明けは祝日のため、いつもより早く発売されたジャンプ。

昨日明け方、銭湯帰りに購入して更衣室に置いておいた。


……それはそうとして。

なんでバンは今、このタイミングでジャンプを読んでるんだろう。