余所者-よそもの-【 2 】



「カナコさん」

「ねぇ、野間くん」


「……なんすか」

「あの子、知ってる?」

前を指さすと、野間はその後ろ姿に目をやって「ああ」と頷いた。


「紫藤さんのストーカーっす」

「ストーカー……?」


野間の表情はどこか冷めていた。

嫌っているのか、興味がないのか。


視線も、話題も、全部アオイから逸らすように、私の肩に手を置いた。


「気にしないでいいっすよ。とにかく、帰りましょ」

私はそっぽを向いて「イヤだ」と、野間の手を払いのけた。


「……わかってます。Re:bidoには帰しません。カナコさんの家に帰します」

「………」


「……今度こそ」

私が野間を見れば、野間は私から目を逸らす。


「まだ……AnBarには帰れない」

「朝まで時間、潰しますか」

「……うん」


野間はどこか店に入ろうか、と言ったけれど、私は首を横に振った。

立ち尽くしたまま動かない私に、野間は困ったようだった。


結局。
私たちは、道の脇のコインパーキングに入った。


私は空いた駐車スペースのタイヤ止めに腰を下ろした。

野間はそのそばにバイクを止め、シートに座る。


「………」
「………」


野間とは話す気がなかった。

野間だって、私に話しかけようとはしなかった。


アオイはちゃんと帰れたかな。

冷たいコンクリートブロックの上で、私はそんなことを考え続けた。


他のことを考えようとすれば、頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだったから。


野間は、夜が明けるまで。

冷たい夜風を遮るように、ただ黙って私のそばにいてくれた。