余所者-よそもの-【 2 】



「話さないなら帰る」

「待って」


もともと、聞きたいことはあった。

でも、今は……シドの話はいいや。


「名前、教えてくれない?」

「……はぁ?」


女の子はあからさまに顔を歪めて、馬鹿か?って具合の呆れ顔をこちらに向けた。


「なんで私の名前を知る必要がある?」

「この間も今日も呼び止めようと思うのに、名前を知らなくて不便だから」

「呼び止めてくるな」

「じゃあ無視しないでよ」


少女は考え込んだ。

私は固く結ばれた目の前の口が開くのを、じっと待った。


「……ォイ」

「え?」


「ア・オ・イ!」


この子は、アオイ。

ようやく名前を教えてくれた。


「質問に答えた。お前と話すことはもうない。じゃあな」


アオイは再び歩きだす。

私も再びついて歩いた。


「アオイちゃんっていうのね。私、カナコ」

「………」

「ねぇ、アオイちゃん」

「………」

「アオイちゃん?」


「……うるさいな!お前!」


アオイはとても鬱陶しそうな顔で、こちらを振り返る。