余所者-よそもの-【 2 】



久しぶりに、化粧をした。

服は、一張羅を着た。

足元には、シドが置いていったスリッパを履く。


最後に、一目だけ。

シドの目を狂わせた、あの女の顔を見てやろうと思った。


……だけど、後悔した。

会わなきゃよかった。


求めてもいない答え合わせを、突きつけられた気分だった。

シドを癒せるのは、自分だけだと思ってた。


私は、罪悪感でしか繋がれない。

私は、彼の希望になんてなれない。


もう、遅い。

シドにも私にも、希望なんてもうないんだから。


――だけど。

もし……あの子の言葉が本当なら。


もし本当に、終わりの街が、希望の街で。

在りもしないはずの、奇跡が起きて。


彼がもう一度、心から笑える日が来るのだとしたら。


それは、私も、見てみたい。


私はただ、大好きな彼に笑ってほしかった。

そのために、どんなことも受け入れた。


そんな、救いようもないことを……今さら、思い出す。


「ふふ」


愛おしいシドの。

あの、いたずらな笑顔。


どうして今まで忘れちゃってたんだろう。

ごめんね。


そうして私は、久しぶりに心から笑って。

そっと、静かに瞼を閉じた。