余所者-よそもの-【 2 】



「かぁこ」


返事はない。わかっているのに。

このたった三文字を、何度でも呼びたくなった。


なんで……

こんなにも胸が苦しいのに、俺は何を求めているんだろう。


傷ついてほしくなかった、守りたかった。

それだけだ。


俺には力がない、相応しくない。

……それだけの話だ。


なのに、どうしてこんなにも納得ができない?


ユキは目を落とした。

傷つき、深く目を閉じるカナコの頬に、そっと手を当てる。



「……許せない」



口が、ひとりでにそう呟いた。


その声に応えるように、心臓がドクンと跳ねる。

異常な熱が、胸の奥を焼く。


それは瞬く間にぐつぐつと煮立ち、ユキの中から吹き零れた。

濁流となった熱い感情が、冷たい理屈を跡形もなく吞み込んでいく。



――許せない。……許せるわけが、ない。



ユキの中で、何かが何かが崩れた。