ふわりとカナコの胸が膨らみ、やがて静かに呼吸が戻った。
ユキは唇を重ねたまま、彼女の髪を撫でる。
……おかえり。
髪から背中へ。背中から、脇へ。
あばらのカーブを指先でなぞり、鳩尾を探し当てる。
そこに、拳を構えた。
ここを突けば、カナコの意識が飛ぶ。
ドラッグによる苦痛から、多少逃がしてやれる。
「………」
でも、それは彼女に痛みを負わせることになる。
だったら、せめて――……
ユキは再び彼女の口の奥深くへと、自分の舌を差し込んだ。
カナコが自分の舌を噛んでしまわないように。
そうして、深く。
拳を、沈めた。
「―――…っ」
「―――…っ」
舌を強く噛みしめられる痛みと同時に、彼女の身体が崩れ落ちた。
離れた二人の唇の間に、銀色の薄い糸が引く。


