「……ッ、」 なんで。 お願い。 いやだ、やめて。 ユキさん。 そう大声で叫びたい。 その背中に、今すぐ飛び込みたい。 なのに。 口が、身体が、動かない。 こんなに目の前にいるのに。 届かない…… ――コトン。 横たわったままの私のすぐ近くで、ビリヤード台が小さく音を立てた。 頭のカーブに沿って転がすように、ゆっくりと後ろを向く。 いつの間にか。 すぐそこに、一人の男が佇んでいた。