「もう、シドに頼っちゃダメだって思った」
「なにをだ」
「私、彼のこと忘れない。自分がやったこと全部、ちゃんと向き合おうと思う」
彼のことも、自分がやったことも。
何からも、もう目を背けない。
シドの熱に預けるんじゃなくて。
自分自身で、自分の中で。
「………」
するとシドは、言葉なく私を突き放した。
肩を押され、身体がよろめく。
「なるほどな。俺はもう要らねぇって話をしにきたのか」
そう言って私に背を向け、テーブルの上の煙草とジッポを手に取った。
白い煙草を口に咥えて──キン、とジッポを鳴らす。
ベッドの縁にドサッと腰を下ろし、ゆっくりと煙を吐きだした。
「シドには、とても感謝してる」
シドがいなきゃ、きっと今も、立ち上がることすらできずにいた。
あの日、あのとき。
どうしようもなかった私を、見つけてくれたから。
受け入れてくれたから、引き受けてくれたから。
独りぼっちじゃなかったから。
だからもう一度、ちゃんとタカと向き合おうって思うことができた。


