余所者-よそもの-【 2 】



「シド」


ベッドの上に片膝を立てて座り、煙草を吹かしていた。

ゆらゆらと上がる紫煙が霧のように散って、その姿をぼやけさせた。


「どうした」

煙は、ゆっくりと薄れていく。

その向こうにいるシドは、変わらない静かな眼差しで、まっすぐに私のことを見ていた。


「ぼうっと突っ立ってねぇで、こっち来い」


煙草をもみ消しながら、片腕をこちらに伸ばす。

私は扉の前で足を止めたまま、首を小さく横に振った。


「今日は、話がしたくて」

「……アッチ行くか」


ベッドから立ち上がったシドは、大きな歩幅で私の前までやってきた。

私の手首を取り、「行くぞ」と手を引いたとき。



「私、もうここには来ない」



シドの足が、ピタリと止まる。

繋がった手からじわじわと、シドの熱が染みてくる。


こんな私を受け入れてくれた、熱。


私がシドを振り返ろうとしたのと。
シドが、私の両肩を掴んで振り向かせたのと。

それは、ほとんど同時だった。